医学論文の最新情報を掲載するデータベース PubMed から、日本の医療現場に直結する研究報告をお届けします。今回は、リハビリテーション科の診断書作成にAIを活用した場合、実際にどの程度の効果があり、どのような課題が生じるのかを検証した研究です。
京都市内の290床規模の一般病院でこの研究を主導した中野正治氏らの研究チームは、生成AI(大言語モデル)とExcel マクロを組み合わせたシステムを導入し、その影響を詳しく調べました。退院時の療法士による書類作成は、医師や看護師と同じくらい時間がかかる業務として知られています。
業務時間が約55%削減の成果
導入前は1件あたり中央値で23分かかっていた退院要約の作成が、導入後は10分に短縮されました。統計解析の結果、平均で約12分26秒の有意な削減が認められています。医療従事者の業務負担軽減は、燃え尽き症候群(バーンアウト)の予防にも繋がる重要な課題であり、この成果は現場の関心を集めそうです。
使いやすさは「良好」も、AIの誤りが課題
利用者18名の評価では、システムユーザビリティスケール(SUS)という標準的な指標で、83.75点(100点満点)を記録し、83%が「実用的である」と判定しました。一方で懸念すべき点も浮かび上がりました。検証対象となった11件の退院要約のうち、実に81.8%に何らかのエラーが含まれていたのです。特に「存在しない情報を生成する』という AI固有の誤りが52.6%を占め、医学的に重大なものが5件ありました。
日本の医療現場への示唆
この研究成果は、低コストで導入しやすいAI支援システムが、確かに業務効率を高める可能性を示唆しています。しかし同時に、完全自動化ではなく「療法士による最終確認と高リスク部分の重点的なチェック」が必須であることを明らかにしました。AIの急速な導入が進む日本の医療現場において、効率性と安全性のバランスをいかに取るかは、今後の重要な課題となります。
出典: PubMed


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